居住用財産の3,000万円控除とは
不動産を売却して利益(譲渡所得)が生じた場合、原則として所得税・住民税が課されます。しかし「居住用財産の3,000万円特別控除」を適用することで、譲渡所得から最大3,000万円を控除し、税負担を大幅に軽減できます。これは租税特別措置法第35条に規定された特例で、自宅の売却を促進するための政策的な措置です。
この特例のポイントは「所有期間を問わない」点です。後述する軽減税率の特例(長期譲渡所得の軽減税率)は10年超の所有が要件ですが、3,000万円控除は所有期間が短くても適用できます。つまり、購入してすぐ売却した場合でも、要件を満たせば控除が受けられます。
- 根拠法:租税特別措置法第35条第1項
- 控除限度額:3,000万円
- 所有期間:問わない(短期所有でも可)
- 3年に1度のみ適用可能
- 確定申告が必要(自動適用されない)
適用要件(居住期間・所有期間・親族への売却など)
3,000万円控除の適用を受けるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。要件を満たさない場合は適用できませんので、売却前に必ず確認してください。
主な適用要件
- 居住用財産であること:現に自分が住んでいる家屋とその敷地であること。住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに売却すること
- 売却相手が配偶者・親族等でないこと:配偶者、直系血族(親・子・祖父母・孫)、生計を一にする親族、内縁の妻(夫)等への売却は不可
- 前年・前々年にこの特例を受けていないこと:3年に1度しか適用できない
- 収用等の特別控除と重複適用不可:同じ年に別の特別控除を受けている場合は不可
- 空き家(居住を止めた家)の場合:住まなくなってから3年以内の年末までに売ること
「居住期間」については最低限の要件はなく、短期間居住していた場合でも適用可能です。ただし、住んでいた実態がない(転居した形跡がない等)場合は、税務調査で否認されることがあります。
控除額の計算例(控除あり・なし比較)
具体的な数字で3,000万円控除の効果を見てみましょう。
上記の例では、3,000万円控除を適用することで譲渡所得が0円になり、税金が全くかかりません。控除がない場合は、所有5年超の長期譲渡税率20.315%で約610万円の税負担が生じます。その差は610万円です。
仲介手数料がかかる通常の売却では、5,000万円の売却に対して約172万円の仲介手数料(3%+6万円+消費税)が発生します。テキカク不動産は仲介手数料0円の直接買取なので、この費用もかかりません。
事故物件・空き家での適用可否
事故物件(心理的瑕疵物件)や空き家を売却する場合、3,000万円控除が適用できるかどうかは状況によって異なります。
現在も居住している場合(事故物件)
孤独死・自殺等の事故があった物件でも、現在も居住用として使用しており、売却時に要件を満たしていれば、3,000万円控除を適用できます。物件の「訳あり」性質は、控除の適用可否には関係しません。ただし、売却価格は通常より低くなることが多いため、控除の恩恵も相対的に小さくなります。
住まなくなった空き家(3年以内)
元々住んでいた家から転居し、空き家になっている場合でも、「住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日まで」に売却すれば3,000万円控除が適用できます。この「3年のリミット」を見逃してしまうと適用できなくなるため、空き家の売却を検討している方は早めの行動が重要です。
最初から居住していない物件
相続で取得したが一度も住んでいない物件、投資用として購入した物件、貸出中の物件などは、原則として3,000万円控除の対象外です。ただし、相続空き家には別の特例があります(次節参照)。
相続空き家の3,000万円控除(措法35条3項)との違い
相続した家を売る場合の「相続空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」(租税特別措置法第35条第3項)は、居住用財産の3,000万円控除とは別の特例です。
相続空き家の特例の要件
- 1981年5月31日以前に建築された建物(旧耐震基準)であること
- 被相続人が亡くなるまで一人で居住していたこと(老人ホーム入居の例外あり)
- 相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却すること
- 売却価格が1億円以下であること
- 耐震改修工事を行うか、建物を取り壊して更地にして売ること(2024年1月以降は買主が改修する場合も可)
- 相続人が住んでいないこと(居住した場合は通常の3,000万円控除で対応)
適用できれば最大3,000万円の控除が受けられますが、旧耐震基準・独居・3年以内・1億円以下・耐震改修or取壊しという複数の要件を全て満たす必要があり、ハードルは高めです。要件を満たさない場合でも、他の節税手法がないか、テキカク不動産の公認会計士代表にご相談ください。
控除と軽減税率特例の選択と申告手続き
3,000万円控除と軽減税率特例の組み合わせ
所有期間が10年超の居住用財産を売却する場合は、3,000万円控除と「居住用財産の軽減税率特例」(6,000万円以下の部分は税率14.21%)を重複して適用できます。これにより、長期所有の自宅を売却する場合には最大限の節税効果が得られます。
申告手続きの注意点
- 確定申告は売却翌年の2月16日〜3月15日(通常)に行う
- 申告書に「措置法35条の適用を受ける」旨を記載し、譲渡所得の内訳書・売買契約書のコピー・取得費の証明書類等を添付
- 自動適用されないため、申告を忘れると控除が受けられない
- 住民税は翌年6月から分割で徴収(確定申告で所得税の申告をすれば住民税も自動的に計算される)
テキカク不動産では、売却に際して税務的なシミュレーションを無料で行います。代表が公認会計士であるため、「この物件を売ったらいくらの税金がかかるか」「3,000万円控除が適用できるか」を事前に明確にした上で売却価格の交渉に入ることができます。TEL 03-6766-6178 またはLINEにてお気軽にご相談ください。